食事しよう

今度のデートはゆっくり食事しようと決めていた。

数日前に中華街の話題がのぼり、

目的地はすぐに決まった。

石川町で待ち合わせをしたけど、

途中の乗り換え駅での待ち合わせに変更。

30分でも多く会えるのが凄く嬉しい。

小雨の降る中、石川町から中華街まで歩く。

平日の中華街は人が少ない。

人混みの中ベッタリくっついて歩きたい願望は

瞬く間に散り去ったけど、

閑散とした中華街をのんびり歩くのも心地よい。

どこで食べようか~?

刀削麺のお店に飛び込んだ。

あれも食べたい、これも食べたい。

彼が子供のようにはしゃいでて可愛い。

隣のグループが賑やかなおかげで、

会話もあまり人の目を気にせずに話せたような。

帰りは違う路線で途中の駅まで一緒に。

向かう道筋も、人がまばらな電車でも、

キスしたい気持ちをずっと抑えてしまった。

「キスしたかったな」

「君が嫌がったんじゃん」

そうだけど。。。

電車で彼の目をじっと見つめてアピールしたつもりどったけど、

通じなかったみたい。

楽しかった。

ゆっくり食事をして、

街中を歩く。

誰も私たちのことなんて気にとめない。

また中華街で食事したいな。

私は必要?

彼にとって私は必要なんだろうか。

もう必要ないんじゃないか。

邪魔になってやしないか。

そんなことを考えてしまう。

完全にネガティヴモードだ。

じゃあ、逆は?

彼が、もし、同じように考えたら?

「彼女にとって僕は必要なんだろうか。」

え!?

必要だよ!理屈じゃないんだから!

そんなこと考えないで!

だよね。。

そんな風に彼が思っていたらすごく悲しい。

そうだよね。

理屈じゃない。

好きだから大切で、

大切だからこそ悩むんだ。

意思疎通が難しい時だってある。

でも、大切だから、好きだから、

意思疎通ができなくて悲しくなったりする。

そんな時はちゃんと謝って、

仕切り直しをしなくっちゃ。

必要とか必要ないとかの次元でなく、

一緒にいないといけないの。

そして、

そこにいてくれさえすればいい。

彼の存在が私のしあわせ。

終電まで

彼が私の服をまくり上げて

素肌に唇を落としながら、

私の心の鎧を溶かしていく。

一枚一枚丁寧に洋服を剥ぎ取っていく。

彼の触れるか触れないかの指先を

体全身で感じる。

私が鎧から開け放たれると

彼は私の中に挿入ってきた。

彼が私の一部になる。

彼に揺らされて、

次第に私は彼に飲み込まれていく。

一緒にお風呂に入り、

幾度となく肌を合わせた。

彼の肌と私の肌が吸い付くような感触が好き。

彼は私を満足させて、

うっとりするような感覚にさせる。

彼は、彼はどうなんだろう。

彼は私を悦ばせるばかりで、

彼は彼自身は悦んでくれているのだろうか。

彼との時間はあっという間に過ぎてしまう。

慌ただしく身支度をして、

「寂しくならないでね。」

彼は優しく微笑んで、キスをしてくれた。

そう言って、彼は終電で帰って行った。

高層階のホテルの窓から彼を見送る。

彼らしき人が手を振っているのが見える。

楽しかった。

彼の笑顔が優しくて、

彼の声が胸の中に響く。

目標に向かって歩いて行く。

夢ではなく現実の世界で見る将来。

「ありがとう」

手を振る彼に呼びかけた。

この後は、ひとりホテルを堪能しよう。

ただいま

イベント会場で1日買い出しと情報収集で動き回った。

クタクタのはずなのに、心が軽いと疲れも感じない。

夕方、近くの予約していたホテルにチェックインしてすぐに、彼が最寄り駅に着いたと連絡をくれた。

部屋の呼びたし鈴が鳴り、

ドアを開けると彼が立っていた。

「ただいま」

荷物を置いて落ち着いた所で、

彼に抱きついた。

会えた。やっと会えた。

人の目を気にせず彼に会える事が待ち遠しかった。

夕飯は、ホテルの夜景を挑める中華料理店で。

夫婦のような、

秘密めいたような雰囲気を醸し出しているかもしれない。

そんなシチュエーションも楽しみながら、

食事を堪能した。

部屋に戻って彼が窓のそばで外を眺め、

私はまた後ろから抱きついてた。

彼のジャケット越しに伝わってくる温もりを

ただただ味わっていた。

会いに来て

イベント準備で都内に。

しばらく会えないと思ってた。

私が色々な思いで滅入ってしまって、

体調まで崩してしまった。

彼がそんな私を元気づけるために、

会いに来てくれた。

この数日、

彼も私をどう扱えばいいのかわからなかったのだとと思う。

やっと言えた「あいたい」を

彼が受け止めてくれた。

たったそれだけでも、

私の中で何かが変わって、すっと心が軽くなった。

彼は私の全てなんだ。

彼がいないと私は……。

イベント準備が終わって、彼の待つ駅前広場に向かう。

彼を見つけた時、走り寄りたい気持ちをおさえ、

抱きつきたい想いをこらえ、

そっと彼の傍らに立った。

私を見て彼がニッコリ笑ってくれて、

ただ嬉しくて、

私も笑顔になる。

30分ほど立ち話して電車に乗る。

少しでも長くいられるように、

乗り換えの駅まで送ってくれた。

ホンのつかの間でも、

とっても幸せなひととき。

単純で、弱くて。。

それを彼は呆れながらもそっと支えてくれている。

体調が悪い上に連日都内に出ないといけなくて、

それを心配した夫が、

泊まっておいでと言ってくれた。

電車の中で、

彼に相談して、

日曜の夜、イベント会場に近い場所にホテルをとった。

少しの時間、彼と過ごせる。

彼のことになるとアタフタして、

ただ不安になってしまう。

彼に余計な心配はさせたくないけど、

でも心配して欲しいと思ってしまう。

ならば、私はどうやって彼を支えよう。

彼が落ち込んでしまった時、

ちゃんと支えてあげられるようになる。

彼のためなら頑張れる。

彼女との新しいかたち

2人だけでいた。

夢の中に2人だけだった。

そこに、現実の2人の共通の知り合いが絡みはじめ、そこには彼女の旦那もいる。

今までは夢だけ見ていた関係に、現実が流れ込んでくる。

ほかの現実の人間との絡みを感じる。

夢の中では感じなかった関係を感じる。

そこがちょっと怖かった。

男女間だけではない、現実の姿や生き方を感じることで、自分が壊れやしないか、怖かった。

はじめの気持ち、ゆっくりと、いつまでも。

それを思い出すように。

ところが、彼女が少し壊れはじめたようだ。

まじめでまっすぐな彼女は、ゆっくりしているつもりでも、足元が駆け出してしまう。

駆け足だと、距離が離れてしまうよ。

走る内容や行動は違っても、離れないように速度はそろえておこうね。

5時間既読にならず

たった5時間だけど。

どこで何をしてるのか全くわからない。

嬉しい報告も未読のまま。

寂しいというより、

ちょっと怒ってる。

でも、このままだと、不安になって……

LINEは通知オフ設定して、

スマホの最終画面に追いやった。

平日の音信不通は気にならない。

休祝日は何をしてるか全く見えないから嫌い。

忘れたい…

お休みの日だけ、彼を忘れられたらいいのに。

声が聞こえる

文字だけが目に入る。

内容だけが目に飛び込んでくる。

LINEは会った時の彼とは別の人に見えてしまうことも。

でも、たまに、LINEの文章が、

彼の声になって頭に入ってくることがある。

LINEも日に数回。

おはようも、おやすみも、しない。

会話する時は、真面目な真剣な話になることが多い。

そんな時に、ふっと彼の甘いバリトンの声が、

頭の中に響く。

【いい事だけを思い出す】

それを意識して繰り返してるうち、

彼の笑い声をよく思い出すようになった。

お腹の底からの笑い声、

甘くて低いバリトンの笑い声が、

私を優しく包み込む。

10月はけっこう会ったよね。

この1年、彼と会って会話を交わした日が31日間。

月に2~3回会ったことになる。

会えない時でも、月に1度は必ず会って、濃密な時間を過ごした。

これからの1年は、どんな風になるんだろう。

夢と目的と目標を掲げた今、

明るい未来しか見えない。