妄想しながら大掃除

「あなたが死んだら追いかける」

「追いかけなくていいよ。ずっと向こうで待ってるから」

「やだよ、私ひとりでおばあちゃんなんて。」

「死んだら好きな時代の姿になれるんだって。」

「そしたら私は高校生の姿で。」

「俺は今の自分が一番好きだよ。」

高校生の姿で今の彼に甘えたい。

なんか変な妄想に走ってしまう。

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仕事納め

彼は昨日が仕事納め。

私は今日が仕事納め。

彼のことを知ってる人に会った。

知ってると言っても離れた席で食事をしたくらい。

かといって私の彼ということも知らない。

その人と、ちょぴり彼に関する事の話題になる。

彼のことを話す訳では無いけど、

そんな知り合いがいるだけで、

寂しい想いから開放される。

去年は年末年始の彼の動きがわからなったし、

SNSで見ても、周りの人に嫉妬したりだった。

連絡をあまり取らないようにしていたと思う。

思い出した。

去年の師走は、

彼がお嬢さんと彼のスマホの機種変に行って、

数時間音信不通になって。

それがとにかく不安で、

寂しくて仕方なかった。

あの時の私に言ってあげたい。

もっともっと切なくなることもあるけど、

いつも彼はそばにいるよ。

不安がらなくていい。

あなたが笑っていれば彼も笑ってる。

あなたが泣いていれば彼も泣いてる。

こころはいつも繋がってる。

上を向いて歩こう。

彼女の旦那と

あるグループでの忘年会。
そのグループには、彼女の旦那もいる。

彼女と旦那はならんですわって、その隣に別の女性。
その隣に俺。

彼女の歌や、歌に合わせて踊る姿を横目に捉えながら過ごす数時間。

踊りながら可愛く振るお尻をさわれないのがもどかしい。

隣に座って肩を抱いたり手をつなげないのがもどかしい。

せめて歌は彼女のために歌う。

チラチラと見を合わせるのを旦那に気づかれないか?

他の仲間たちに気づかれないかと、まわりの視線も気にする。

旦那さんは俺のことを気にするでもなく、一度も目が会うことはなかった。

隣に座って何かを話し合う夫婦としての彼女を見ても、特に何かを感じることもなかった。

今日はハグもキスも、手をつなぐことさえ、最初から諦めていた。

でも、帰る時には、俺が送っていくことができないもどかしさ。

せめて、目の前を通り過ぎる彼女の腰にそっと触れる。

彼女はそれを気づいていると、そんか気がその時した。

むしろ、今夜のお別れをするために、少しでも距離を縮めるために、俺の目の前を通ったのだろう。

いじらしい。

抱きしめてあげたい。

もどかしい。

また会う約束などすることもなく。

それじゃまたなと別れる時の、

お前がいい。

そんな中村雅俊の歌のような、もどかしくも、ゆったりと落ち着いた気持ちになれた年の瀬だった。