終電まで

彼が私の服をまくり上げて

素肌に唇を落としながら、

私の心の鎧を溶かしていく。

一枚一枚丁寧に洋服を剥ぎ取っていく。

彼の触れるか触れないかの指先を

体全身で感じる。

私が鎧から開け放たれると

彼は私の中に挿入ってきた。

彼が私の一部になる。

彼に揺らされて、

次第に私は彼に飲み込まれていく。

一緒にお風呂に入り、

幾度となく肌を合わせた。

彼の肌と私の肌が吸い付くような感触が好き。

彼は私を満足させて、

うっとりするような感覚にさせる。

彼は、彼はどうなんだろう。

彼は私を悦ばせるばかりで、

彼は彼自身は悦んでくれているのだろうか。

彼との時間はあっという間に過ぎてしまう。

慌ただしく身支度をして、

「寂しくならないでね。」

彼は優しく微笑んで、キスをしてくれた。

そう言って、彼は終電で帰って行った。

高層階のホテルの窓から彼を見送る。

彼らしき人が手を振っているのが見える。

楽しかった。

彼の笑顔が優しくて、

彼の声が胸の中に響く。

目標に向かって歩いて行く。

夢ではなく現実の世界で見る将来。

「ありがとう」

手を振る彼に呼びかけた。

この後は、ひとりホテルを堪能しよう。

ただいま

イベント会場で1日買い出しと情報収集で動き回った。

クタクタのはずなのに、心が軽いと疲れも感じない。

夕方、近くの予約していたホテルにチェックインしてすぐに、彼が最寄り駅に着いたと連絡をくれた。

部屋の呼びたし鈴が鳴り、

ドアを開けると彼が立っていた。

「ただいま」

荷物を置いて落ち着いた所で、

彼に抱きついた。

会えた。やっと会えた。

人の目を気にせず彼に会える事が待ち遠しかった。

夕飯は、ホテルの夜景を挑める中華料理店で。

夫婦のような、

秘密めいたような雰囲気を醸し出しているかもしれない。

そんなシチュエーションも楽しみながら、

食事を堪能した。

部屋に戻って彼が窓のそばで外を眺め、

私はまた後ろから抱きついてた。

彼のジャケット越しに伝わってくる温もりを

ただただ味わっていた。

会いに来て

イベント準備で都内に。

しばらく会えないと思ってた。

私が色々な思いで滅入ってしまって、

体調まで崩してしまった。

彼がそんな私を元気づけるために、

会いに来てくれた。

この数日、

彼も私をどう扱えばいいのかわからなかったのだとと思う。

やっと言えた「あいたい」を

彼が受け止めてくれた。

たったそれだけでも、

私の中で何かが変わって、すっと心が軽くなった。

彼は私の全てなんだ。

彼がいないと私は……。

イベント準備が終わって、彼の待つ駅前広場に向かう。

彼を見つけた時、走り寄りたい気持ちをおさえ、

抱きつきたい想いをこらえ、

そっと彼の傍らに立った。

私を見て彼がニッコリ笑ってくれて、

ただ嬉しくて、

私も笑顔になる。

30分ほど立ち話して電車に乗る。

少しでも長くいられるように、

乗り換えの駅まで送ってくれた。

ホンのつかの間でも、

とっても幸せなひととき。

単純で、弱くて。。

それを彼は呆れながらもそっと支えてくれている。

体調が悪い上に連日都内に出ないといけなくて、

それを心配した夫が、

泊まっておいでと言ってくれた。

電車の中で、

彼に相談して、

日曜の夜、イベント会場に近い場所にホテルをとった。

少しの時間、彼と過ごせる。

彼のことになるとアタフタして、

ただ不安になってしまう。

彼に余計な心配はさせたくないけど、

でも心配して欲しいと思ってしまう。

ならば、私はどうやって彼を支えよう。

彼が落ち込んでしまった時、

ちゃんと支えてあげられるようになる。

彼のためなら頑張れる。

彼女との新しいかたち

2人だけでいた。

夢の中に2人だけだった。

そこに、現実の2人の共通の知り合いが絡みはじめ、そこには彼女の旦那もいる。

今までは夢だけ見ていた関係に、現実が流れ込んでくる。

ほかの現実の人間との絡みを感じる。

夢の中では感じなかった関係を感じる。

そこがちょっと怖かった。

男女間だけではない、現実の姿や生き方を感じることで、自分が壊れやしないか、怖かった。

はじめの気持ち、ゆっくりと、いつまでも。

それを思い出すように。

ところが、彼女が少し壊れはじめたようだ。

まじめでまっすぐな彼女は、ゆっくりしているつもりでも、足元が駆け出してしまう。

駆け足だと、距離が離れてしまうよ。

走る内容や行動は違っても、離れないように速度はそろえておこうね。

5時間既読にならず

たった5時間だけど。

どこで何をしてるのか全くわからない。

嬉しい報告も未読のまま。

寂しいというより、

ちょっと怒ってる。

でも、このままだと、不安になって……

LINEは通知オフ設定して、

スマホの最終画面に追いやった。

平日の音信不通は気にならない。

休祝日は何をしてるか全く見えないから嫌い。

忘れたい…

お休みの日だけ、彼を忘れられたらいいのに。

声が聞こえる

文字だけが目に入る。

内容だけが目に飛び込んでくる。

LINEは会った時の彼とは別の人に見えてしまうことも。

でも、たまに、LINEの文章が、

彼の声になって頭に入ってくることがある。

LINEも日に数回。

おはようも、おやすみも、しない。

会話する時は、真面目な真剣な話になることが多い。

そんな時に、ふっと彼の甘いバリトンの声が、

頭の中に響く。

【いい事だけを思い出す】

それを意識して繰り返してるうち、

彼の笑い声をよく思い出すようになった。

お腹の底からの笑い声、

甘くて低いバリトンの笑い声が、

私を優しく包み込む。

10月はけっこう会ったよね。

この1年、彼と会って会話を交わした日が31日間。

月に2~3回会ったことになる。

会えない時でも、月に1度は必ず会って、濃密な時間を過ごした。

これからの1年は、どんな風になるんだろう。

夢と目的と目標を掲げた今、

明るい未来しか見えない。

彼女とのアニバーサリー

一年前、彼女と数十年ぶりに再会した。

その数日前にSNSで彼女とつながった。

久しぶりと彼女からメッセンジャーが来た。

高校の時も、就職して再会した時も、彼女のことは気になっていたが、なぜか彼女と付き合おうという気持ちにはならなかった。

今思えば、その頃はまだ、その時ではなかったんだと思う。

メッセンジャーで、離れていた期間のお互いの話や、今どこでどんなことをしているかのやりとり。

離れているが会えない距離でもない。

今度デートしようね。

何気なく誘って、LINE交換。

つながりが一段深まった。

そして、このブログが始まった。

1周年

彼と再会して丸1年たった。

彼と1年前のやり取りや待ち合わせの時のことを思い出す。

私が着ていた服も彼が着ていた服も覚えてる。

彼との会話も、何を食べたかもよく覚えてる。

まるで昨日のことのように。

彼の働く街で軽く飲んで、

沢山話した。

そして、当初の再会時のブログ書いていないことを思い出した。

駅までの道のり、彼が手を繋ぎたいといい、

手を繋いた。

キスしたいとも言ってたけど、それは受け流した。

酔っ払っていたわけでもない。

高校生同士に戻ったかのように、

手を繋いで笑いながら歩いた。

駅のエレベーターで彼が私のお尻を

つついたり、撫でたり。

彼と何かが始まるという感覚はなかった。

でも、これからたまに会えたら楽しいだろうなと思った。

それから1週間後、私たちは結ばれた。

1年前の彼との再会を思い出すだけで、

胸がキュンとする。

すごく会いたい。

彼のことが好きで好きでたまらない。

好きすぎて涙が出てくる。

優しくて、

一緒にいるとあたたかく包まれて、

甘えたり甘えられたり。

今はただ見つめあって、

彼のたくましい胸に触れ、

包み込まれたい。

昨日、ほんの少しだけ会えた。

彼が、どうやって私に触れようか試行錯誤している様が可愛いかった。

しばらくお互い忙しくて、ゆっくり会う時間が持てそうもない。

でも、こうしてほんの少し会えるだけでもしあわせ。

ほんの少しの時間でも、

彼の優しさを感じることが出来れば、

私は大丈夫。

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