よばい星

夜這星は流れ星。

流れ星は、恋い慕う結果、魂だけ抜け出して好きな人のところへ会いに行く姿にも例えられていたそう。

跡形なく、彼のいた形跡を片付けた。

なのに。

彼がいた場所に、彼の残り香が残ってる。

玄関や、

リビング、

ダイニング、

お風呂、

洗面所、

タバコを吸ったキッチン、

布団からも。

私の記憶の中の彼のにおいだけは消せなかった。

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妄想が

なんかね、思うんだ。

夫が、

私以外に落ち着ける場所があるなら、

それもありなのかなって。

ちゃんと帰ってきてくれるなら。

私が彼にとってそういう存在でいれたらいいな。

そんなふうに思った。

夫婦仲が良くても、補いきれないものもあるんだよね。

彼は高め合う存在。

癒してもくれるし、

励みにもなるし、

頑張ろうっていう気持ちにもさせてくれる。

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言われちゃった

「あいたいね」

彼から言われちゃった。

そしたら私も言っちゃうよ。

「あいたいね」

なーんで、こんなに好きなんだろ。

あなたとしたいよ

手を繋いで見つめあってゆっくり、しよ!

会いたいって言わないよ

彼の優しく低い声が聞きたい。

彼の笑い声が聞きたい。

彼と手が繋いで歩きたい。

彼に優しく包まれたい。

彼と穏やかな時間を過ごしたい。

彼といろんな話をしたい。

彼と一緒にご飯が食べたい。

彼に抱きしめられたい。

彼を抱きしめたい。

よしよしってしてあげたい。

乳がん

※病気の話です。興味のない方は飛ばしてください。

私自身に乳がんが見つかったのは4年前にさかのぼる。

健康診断の触診で、

「ここにしこりがありますね。印つけておくので次のマンモグラフィで撮ってもらってね。」

そう女医の先生に言われた。

その場所は胸の下の骨のあるところ。

マンモグラフィで、

その印した場所を器具で挟むのが大変らしく、

何度も撮り直した。

もし、マンモグラフィのみの検査だったら、

見つけられなかったと思う。

もうしこりがあるのはわかってる。

でも、健康診断の結果が手元に来ないと、

次の検査に進めない。

それがもどかしかった。

健康診断の結果はもちろん再検査の促し。

再検査の理由は「左右非対称」

右の胸にはないしこりが左胸にはある。

再度、健康診断をしたセンターと同系列の病院で再検査を受けた。

触診、マンモグラフィ、エコー(超音波)

触診やエコーでは見つけられない乳がんもある。

乳がんと言っても種類が沢山ある。

そして、針を刺してしこりの細胞を取る針生検。

その病院でやってもその後の検査に2週間かかるし、手術の設備がないから大きな病院へ紹介するとので、そこで針生検をしなさいと言われた。

「もし、検査結果、様子を見ましょうと言うことになったら、私のところに戻ってきなさい。」

それって、乳がんの太鼓判を押されたようなもの。

ただ、かえって安心できた。

ちゃんと診てもらえる安心感の大切さを今でも感じる。

大きな病院へ移り、

再び検査を1からやり直してもらった。

生検で乳がんだと確定。

「ラッキーだったね。乳がんは胃がんなんかと違って、1つのしこりでも裏表の表情が違う。

生検で乳がんの組織が見つからなかったと言っても、そのしこりが乳がんでは無いと確定出来ないんだ。」

話はもどるが、しこりは私が触っても確認できた。

消しゴムみたいな物がある。

それが押すと移動する。

同僚や友人など、女性とあらば触ってもらい確認してもらう。

本物の乳がんのしこりなんて、一般の人は触る機会なんてないもの。

感覚をしっかり覚えて欲しかった。

夫にも触ってもらった。

今まで私の次に触ってる人。

でも夫も気がつけなかった。

健康診断のしこり発見から、

乳がん確定まで1ヶ月。

しんどかった。

これからどうなるのかが不安で。

ネットで本で調べまくった。

抗がん剤のこと、放射線治療のこと。

落ちて、泣いて、悩んで。

辛い1ヶ月だった。

乳がんの告知を受けた時、

不思議と目の前が明るくなった。

後は病気に立ち向かうだけ。

自分の見つめるべき方向が見えるということが、

何よりも励ましになる。

それを自覚した瞬間だった。

そして乳がん患者のオフ会にも参加した。

治療を終えた人、これからの人。

みな笑ってる。

カツラの人もいる。

でも、治療を終えた人は皆笑ってた。

私もこの人たちみたいに笑える時が来るんだ。

治療が終わったら、

私はもっと強く明るくなれる。

それが確信できた。

私の乳がんは早期で、ステージ1。

部分切除と放射線治療とホルモン療法。

リンパへの転移もなく、抗がん剤治療は行わなかった。

治療は辛い。

でも、病気の何たるかがハッキリするまでの辛さとは違う。

先の見えない辛さは本当に辛い。

その経験は私にとって大きなものとなったけど。

なかなか人にはわかってもらえない辛さ。

その時がいちばん寄り添ってもらいたい時なのに。