どこにいこうか

お正月もおわって

普通の日々。

さあ、どこにいこうか?

平日休んでデートもいいな。

まだ夢と魔法の王国はさむいかな。

彼女が、日曜に時間が作れるらしい。

さあ、どこへ行こうか?

これから2人、どこへ行こうか?

はぐくむ

は ぐく・む [3] 【育む】
( 動マ五[四] )

① 親鳥が雛(ひな)を自分の羽で抱きかかえて守り育てる。 「雛を-・む」 「我(あ)が子-・め天の鶴群(たずむら)/万葉集 1791」

② 養い育てる。 「両親に-・まれる」 「豊かな大地に-・まれる」

③ 大切に守り,大きくする。 「愛を-・む」 「子供の夢を-・む教育」

 

大切に守り、大きくする

 

急に大きくすると、割れちゃうよ。

ゆっくり、少しずつね。

 

大きくなりすぎたら、深呼吸して少し息抜き。

 

きみのこころがこわれている

正月があけて、いままでの普通の日常につつまれている。

インスタや彼女のブログから、彼女の悲鳴がきこえてくる。

会いたい。

会いたい。

会えない年末に、会いたいという思いが高ぶらないようにと送ったメッセージが、彼女を苦しめているのかもしれない。

そんな時は、ゆっくり深呼吸。

はなれていても、同じ空気を、ゆっくり深くとりいれよう。

ふたりは、いつもここにいるのだから。

 

正月

ようやく、そろそろ、正月がおわる。

日常すぎる日常。

早く夢が見たい。

あいたい。

と言ってしまうと、彼女は無理をする。

だから、あまり言わない。

平日にやすみをとろう。

夢と魔法の王国は、まだ寒いかな?

日常の中で見る夢

年末から年明け、正月。

普段よりも日常を強く感じる日常。

それが不満なわけではない。

でも、時折、その日常をかすめる夢。

彼女も日常を普段以上に感じているだろうか。

夢がかすめて切なくなっていないだろうか。

そんな想いが、日常をただよっている。

インスタに彼女が、彼女のうちの周りの日の出の様子を動画であげる。

いつか、その動画の景色の中に入ってみたい気になる。

いかん、日常のどうでもいい正月らしいお笑い番組でもながめて、日常に埋もれているふりをしよう。

それだけしかいえない

君を愛してる それだけしか言えない

胸に広がる思い 言葉は 伝えきれない

君の名前しか浮かばない いつの日も

まるで 初めての恋

見つめるように毎日が過ぎる

出会ってから

 

すごくぴったり来る歌だ。

きっとこの歌を作った人も、こんな気持ちだったんだろうな。

玉響(たまゆら)

「玉響(かぎる) 昨日の夕(ゆうべ) 見しものを 今日の朝(あした)に 恋ふべきものか」

玉響 昨夕 見物 今朝 可戀物

柿本朝臣人麻呂

昨日の夕方、ほんの一瞬遭った人、もう今朝には、恋しくなっていいものでしょうか。

会いたい気持ちをしずめるために、現実の世界に没頭する。

ふたりの秘密のインスタをひらかくと、2時間まえに彼女の書き込みをみつけたりする。

きっと、2時間の間、時折インスタを開きながら、ずっと返事をまっていたんではないだろうかと、切なくなる。

あえて、相手のペースを気にして、リアルタイムの”ことつて”をやめるためのインスタ。

伝えたいことを書き込んでおけば、いつか彼女がみてくれる。
そういう風におもっていたが、リアルタイムが気になってしまう。

ずっとまっている彼女を思い、胸がしめつけられる。

あえて、そんな素振りのない書き込みの返事をする。

そうすることで、自分の気持をしずめているのだ。

たまゆらの つながる時間が いとおしく
会えない時間を 切なくさせる

彼女の名前を呼ぶと

再会した時には、彼女を「○○ちゃん」と呼んだ。

数十年前はなんと呼んでいたかわすれたが、おそらく名字に「さん」をつけて呼んでいたと思う。

最近は、女性を呼ぶときは、それほど親しくなければ、名字に「さん」をつけて呼ぶが、ほとんどは「○○ちゃん」。もしくは名前を呼び捨てにする場合もある。

地域でつながっていて、よく飲む仲間たちみたいな女性は、呼び捨てにすることが多い。
なんとなく、さんをつけて呼ぶのは、よそよそしくて相手に失礼な感じがしてしまう。

なので、おそらく、彼女と再会した時は、自然と「○○ちゃん」と呼んだ。
久しぶりにあう親しい友だち。嗜好が同じ往年の仲間、という感覚でそう呼んだ。

次に大森であった時に、「ちゃん」を付けずに呼び捨てで名前を呼んだ。
自分としては普通の流れだった。
親しみを込めて、よそよそしく感じる「ちゃん」をつけずに、親しみを込めたつもりだった。

普通の友達や仲間であれば、なんのことはない呼び捨て。

彼女と体を合わせながら呼んだ呼び捨ては、自分の中の感情の何かを揺さぶった。

それが何なのかわからないが、名前を呼ぶことによって、夢の中の彼女が夢から抜け出して、俺の中で現実を大きく占めてしまうような、そんな予感のような感覚が、夢を長く続けられなくしてしまうような気にさせたのかもしれない。

それ以降、呼び捨ても、「○○ちゃん」も、使わなくなった。

実際の会話だけでなく、インスタやLINEの会話でも、怖くて使えなくなった。

クリスマスの前に、インスタでのやり取りに不自由を感じて、久しぶりにLINEで会話をしているときに、「○○ちゃん」と呼んでみた。

彼女はLINEでの会話の時には、俺を「○○くん」と呼ぶ。
それに呼応して呼んでみた。久々に呼ぶのは照れくさかった。

女性の名前を「○○ちゃん」と呼んで、照れくさいと思うなんてことはなかったのに。

今度会ったときには、呼び捨てに挑戦してみるつもりだ。

愛しさを隠して、夢の中にいられるように。平常心で呼ぶ。

 

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Shibuya Night — III

せまい湯船に一緒につかってじゃれ合う。

彼女が先に浴槽を抜け出して、手で泡立てたソープで体を洗い始めた。
それを浴槽からじっと見ている。
微笑みながら、目をそらさずに視線をあわせたまま体を洗う彼女。

彼女にうながされて浴槽をでると、その泡の手は俺のことを洗い始めた。

そっと、やさしく焦らすように。
いつも俺がやっている仕返しをされているようだ。

からだの感覚が敏感になり、むずむずしているところを彼女に悟られた。

ベッドに入ってからは反撃を開始。

彼女の両手を片手で束ねて頭の上で固定して、もう片方の手で彼女のバスタオルをはがす。
そして、全身を指と唇でそっとまさぐる。

彼女の中に入ってからも、そっと動く。しばらくそっと動いてから一旦とまる。

「そのまま中にいて」

しばらく、やわらかく、あたたかいやさしさに包まれていることを堪能する。

そして、彼女が上に回り反撃がはじまる。

彼女の指と唇が、仕返しをするようにそっと、体中をまさぐる。
自然と身がよじれるほど気持ちがいい。
しばらく、されるがままに、息遣いがあれるほど快楽におぼれる。

そのうち、彼女が上にまたがり、そのまま彼女の中へと入る。

彼女はゆっくりと腰を動かし、だんだんと激しくなる。
快楽にまかせ目をとじる。彼女は腰を擦り付けるように激しくあえぐ。

夢の中で夢を見ているような快楽というか悦楽。

そのあと、ふたりとも上半身を起こしたまま体をあわせたりした記憶のカケラがあるが、あまりよく覚えていない。

気持ちが良かったことだけは覚えている。

 

 

胸の上に彼女をのせたまま、両腕で抱きしめていた。
胸をあわせ、体のすべてを密着させて、気持ちをあわせるように、彼女の中に入ったまま、ひとつになってだきしめていた。

ずっと、彼女の中にはいったまま。
離れずにずっと一緒にいた。