逢瀬

私が仕事で都内近郊に出る日に合わせ
彼が仕事を調整してくれた。

彼の仕事は私もかつて目指していたものだった。
長い年月の間に
彼は沢山のことを経験し
成長していた
それがとても眩しかった。

リスペクトがそのまま想いに?

そんな自問自答を繰り返しつつ
気持ちの変化の原因をさぐるという意味のない行為は
自分を追い込いこんでしまいそうだった。

あえばわかる。
自分の気持ちは、あえばはっきりする。
どうしたいのか、どうなりたいのか。
子供じゃないんだから、しっかり受け止めなくては。

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あいたい

彼が電車を降りたとき、
確かに私は冷静だった。
他の共通の友人たちにも会いたくなった。
<みんなで会えないかな。>
そんな風に漠然と考えていた。

彼が私の仕事のことで相談にのってくれるということで、
メッセージのやり取りが続いた。
そして、飲んだ時の彼の深刻な話も気になっていた。
<どうにかできないもんかな。
物理的には無理でも、
彼の気持ちの拠り所くらいになれるかな>

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再会

「久しぶり!」

待ち合わせ場所に立っている彼は、
大分私の記憶からはビジュアル的に程遠い人になっていた。
多分、街中ですれ違っても気がつけなかっと思う。
でも、「久しぶりー」と見せたあどけない笑顔と
聞きなれた低い声に懐かしさがこみ上げてきた。
その声と笑顔だけで、何年もの空白が消え去ってしまったかのようだった。

再会までの経緯も、本当に些細なことだった。
SNSで繋がった友人の先に彼がいた。
ありきたりの挨拶メッセージを送ると、
いきなり、「そのうち飲みにいこー」と返事が返ってきた。
私も、
<ま、いっかー、懐かしいし>
と軽い気持ちで約束を交わした。
そして、会うまでに何度かメッセージのやり取りをして、
お互いの現境遇をなんとなく把握していた。

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