ありあけ 夫婦のように

ビュッフェで食事をしてから、部屋に向かう。
先に彼女がチェックインしてあるので、そのままエレベータで最上階へ。

ベイエリアを見渡せる高層ホテルの最上階。

都会を見下ろしながら、いろいろな話をする。
年末からお正月の話し。
今日なにしてた?という話し。
下界に駐車してある車がパトカーに職質されてる話し。

しばらく会わなかった期間にあった、心の葛藤や、インスタでのやり取りなどにはあえて触れずに、どちらも切り出さずに、ごく自然な時間が過ぎる。

あえてそういうつもりではなかったが、自然と、長年連れ添った連れ合いのような、ごく普通の時間が過ぎる。

彼女も、その期間の話題は特に切り出す風でもなく、普通に装っているようだ。

おそらく、実際の夫婦が何かの用事で、こんな部屋に2人で居合わせたとしても、こんな風に普通の時間が流れるのだろう。

普通の夫婦のようだな。
そう思った。

ひょっとすると、時空を超えた別次元の、ふたりが本当の夫婦になっている次元に迷い込んだのか、という錯覚を楽しんでみたりする。

その自然さが心地よくて、あえてその普通を楽しんでいた。

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