大森へ

前回、あわてて電車を乗り換え、話し足りない気持ちはすぐにLINEでのあいさつにつながった。

それから、仕事の事や生活のこと、何度となくLINEでの会話を重ねた。

昼間も、夜も、深夜でも、早朝でも、伝えたいことがあって、知りたいこともあった。

1週間とたたないうちに、「また会いたい」という気持ちがつのる。

あの日におそらく芽を出した、なつかしい「きゅん」という気持ちが、日に日に積み重なるのがわかった。

会話のなかで、そういう気持ちが高まっていることを冗談めかして伝え、お互いのなかで更に気持ちがつのっていくのがわかった。

翌週の平日に時間がとれそうだ。仕事を調整して時間をつくる。

翌日の予定などをLINEで伝え合っている時だ。

「あした、どうしたい?」

彼女からのメッセージは、まっすぐに伝わってきたきた。

平日の夜、そんなに時間は取れないが、ふたりの時間をゆっくり作りたかった。

会社からも近く、彼女も帰りやすい場所をさがした。

大森。さほど訪れたこともない街だが、すこし歩くと大森海岸方面に「ゆっくり出来る場所」があるようだ。

当日、彼女は会社の最寄り駅まできてくれて、「いつもの場所」で待っていると連絡があった。まだ2度めだが、すでにそこを「いつもの場所」と呼ぶ彼女が愛おしくおもえた。

いつもの場所でおちあい、一緒に大森に向かった。
これからどこへ行くかも、何をするかも、ヒトコトも交わさないまま、ふたりは夢の中へ向かった。

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