Yokohama(最終回)

<第6ミッション>

ホテルを出る瞬間まで
どこに行くか決めてなくて。
それくらい、ふたりみだらなことに夢中になってた。

ここから行ける夜景のきれいなところ。

「赤レンガ倉庫でクリスマスのイベントやってるよね?」
彼のその一言で行く場所は決定。

 

 

手をつないで
彼のコートのポッケに手を入れて。
彼はどうも歩きにくそう。
慣れてないだけなのかな・・。
それでも私は手を離さない。

30分近く歩いたと思う。
それでも5時を回ってるから、
仕事帰りっぽくて、自然に振る舞える。

赤レンガ倉庫が見えてきて、私のテンションが上がる。
「赤レンガ倉庫だよ~」
「え、どこどこ?」
「見えるでしょ。あそこ。」
自然と早歩きになる。
朝、シーバスで通ったところ。
赤レンガ倉庫の幻想的なライトアップ。
共通の話題・・・危ない刑事で盛り上がる。

赤レンガ倉庫ではクリスマスマーケットが開催されている。
思わず2人で自撮り。
若者たちに混ざって恥ずかしくもあるけど、
ここは恥ずかしがったら、さらに恥ずかしくなってしまうから堂々と。

さながら仕事帰りに来た夫婦にしかみえない・・と信じる。

彼はクールに振る舞いつつも、
子供のようにはしゃいでいて、気がつくといなくなっている。

私は夫といるときと同じように振る舞う。
手をつなぎ、腕をくみ。
いつものこと。
それは彼でも同じこと。
ただ、好きで好きで、嬉しくて仕方ないという感情がそこにある。

あれだけふたりエネルギーを使ったから、
お腹がすいてる。
とにかく何か食べようか・・と、
彼はビール、私は暖かい飲み物を。
ソーセージやポテトなどを彼が買ってきて、
ビニールのテントの中で、若い子たちと相席で食べる。

それぞれの夫婦の話もした。
家にいてニヤけるのが止まらなくて、
彼の代わりに夫に甘えたこととか・・。
「俺の代わりに旦那なんだ?」てニヤついて、
「可愛い」って私の頭を子供みたいに撫でる。
でも、その後、ハッとした顔して言った。
「そっか、そういうことか。俺も、嫁さんに嫌がれるのわかってても、ちょっかい出したくなった。そういうことか~~~。」

お互い同じようなことやってるねって笑いあう。

彼は何杯かビールを飲み、
私はひたすら食べていた。

お腹も満足したところで、少し歩こうと誘った。

ずっと奥に歩くと、
急に暗くなり、振り向くと赤レンガが浮かび上がっている。
若いカップルはその赤レンガの前で写真を撮っている。

海の方にいけば、そこにも若いカップルたちがいる。

彼が「キスしたい」っていう。
真っ暗で人影しか見えないオープンな広場で
彼に抱き寄せられてキスをした。
ほんのちょっとだけ。
とても幸せで、楽しくて。




7時を回ったところで夫に連絡を入れる。
「仕事終わった?横浜にいるけど・・来る?」
多分、退社して帰宅中。
もし、まだ会社にいるならば、彼とはそこでわかれて、夫と落ち合う。
夫は、もう家の近くまで帰っていた。
「そっか、じゃ、打ち合わせの人と食事して帰るね。」
もう少し、彼と一緒にいられる。

 

喫煙コーナーで彼がたばこを吸っている間、
持ってきた一眼カメラで写真を撮る。
2人でベンチに座っておしゃべり。
ずーっと、こうしてぼーっとしてたい。
平和な空気が流れる、平穏な時間。

まだこの街の夜は長い。

ずっとずっと一緒にいたい。
でも、まだ夢を見続けるためにそれぞれの家に帰る。

「サイト開こうと思うんだけど・・、一緒に書かない?」
すっごく嬉しかった。
なにかあると自分でブログやHPを作ってた。
だからパートナーが開設してくれるということが
とっても嬉しくて。

帰り道、2人の在り方を話した。
ずっと夢の中で踊りつづけよう。
それぞれの幸せを
さらに幸せにするために。

途中まで同じ電車で帰る。
彼が先に降りて、電車に残る私を見送ってくれる。

「またね。」

今日1日を彼をずっと独り占めできたこと。
ずっと彼は私のことだけを見つめ、愛でてくれたこと。
そして、沢山楽しい話ができたこと。

とても幸せな1日だった。

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