サンドイッチを手に、どこをどう行ったのか振り返っても分からないが、彼女に手を引かれて平日のオフィス街をあるく。
本来ならば男がエスコートするもの、というおごりや虚栄心などが一切ない。
自然に彼女に任せていられる安心感というか、すごく自然でいられる自分が、なんだか新鮮で、ありのままでいられる安らぎのようなものを感じて歩いている。
まるで、ずっと一緒に人生を歩んできたような感覚にさえなっている。
目の前にそれは現れた。デイユースプランのある綺麗なホテルだ。
ゆっくりとした時間を、今日はゆっくり味わえる。正午から17時までの、普段なら午後の仕事をしている時間を、たっぷりと彼女と過ごせる場所。
フロントで鍵を受け取り、エレベーターで部屋のあるフロアへあがる。
エレベーターを降りると、ルームクリーニングをしている、パートの方々が廊下でおしゃべりをいてる。
エレベーターから2人が降りると、あっという間にパートの人たちが姿を消して、廊下が静かになった。
平日の昼間のホテル。そこにいる2人の関係は、自ずとわかるだろう。そういう教育も行き届いているに違いない。そして2人も部屋に消える。
廊下にはまた、日常の平日が戻ったことだろう。
しかし、部屋の中に入った2人には、夢の中の世界がはじまる。
ドア1枚が隔てる、日常と夢の中。
夢を見るための境界線は、いつでも開けようと思えば開けられる、そんな薄っぺらいドアのようなものなのだ。
夢がはじまる。
彼女がブラウスのボタンを、きれいにかざったネイルでもどかしくはずす。途中からすべてのボタンを僕がはずす。彼女の気持ちをじょじょに解放させるように、ゆっくりはずす。
ボタンを外した後は、自ら現実を脱ぎ捨てる彼女を、ちょっと離れてベッドサイドの椅子から眺める。スリップ姿の彼女の全身をみながら、ぼくの現実も一緒に脱ぎ捨てられる。
彼女を抱きしめ、キスをして、全身をそおっと撫でながら、ゆっくりと残りの下着をすべて取り去る。
どこにキスをしたか覚えていないほどキスをする。
それから、ふらつく彼女を支えバスルームに。
2人でシャワーを浴びながら、彼女のすべてを眺めていると、彼女は僕を後ろ向きにさせる。
みられることが恥ずかしくなったのかな?と思っていたら、彼女が後ろから優しく抱きしめてくれた。シャワーの暖かさではない、もっと優しい暖かさが、体と心の両方を包んでいるようだ。
たまらなく、彼女の体に手を伸ばす