<第1ミッション>
待ち合わせは横浜駅のドトール。
彼は寝坊し、私は電車の乗り継ぎを間違えて、
待ち合わせ時間の9時より10分ほど遅れて到着した。
ついてすぐ喫煙コーナーを覗くがいない。
すぐにLINEが入る。
「喫煙コーナーにいるよ。」
え、いつの間に・・。違うドトールあったかな?と思いつつ、
外から中をのぞいたら、ちゃんとそこに彼がいた。
きっと湧いて出てきたんだと、笑ってしまう。
1時間近く喫煙コーナーで煙まみれになりながら
パソコン広げて仕事の話。
私の中ではこの打ち合わせは、
絶対に必要な正当な理由だった。
そんな頑なに実行するまでもないのだけど。
真面目に仕事をする彼の表情は、
やはりとてもカッコいい。
見蕩れてしまって話はほとんど入ってこなかった。
ごめんなさい。
<第2ミッション>
たまたま開催されているお客様の個展に、
彼にも付き合ってもらうことになった。
朝から腕を組んで歩く。
私にとってはごく普通なことだけど、
腕を組まれ慣れていないのが伝わってくる。
それがまたいたく可愛くて。
時々とてもウブな少年が顔を出す。
それが私にはとても刺激的だった。
エスカレーターに乗ると、
彼は必ず私の後ろに立ち、
私のお尻を指先で優しく撫でまわす。
無関心なように振る舞うが、
それが実は拷問されているようなものだと彼は知ってか知らずか・・。
替えの下着は持って来るべきだったのかもしれないと、
平静を装う意識の奥で、ふと思った。
個展会場で、仕事の打ち合わせの前に付き合ってもらったと
お客様に紹介する。
知り合いを連れてきたことをいたく喜んでくれた。
彼と私の名前が隣り合わせで署名される。
それはずっと他人の手もとで保管される。
それだけでも心が躍った。
<第3ミッション>
個展会場から迷いながらも目的地へ。
彼との朝のすがすがしいデート。
そうそう味わえるものじゃない。
その嬉しさを胸に焼き付けるように、彼の腕にしがみつく。
10:40発の船で山下公園に向かう。
最初、彼はシーバスと聞いてもピンとこなかったようだった。
聞いてみたら、水上バスには乗ったことがないという。
船の上で彼は1人子供のようにはしゃいで、
甲板の上をうろうろ歩きまわる。
横浜の景色を海から眺める気持ちよさ。
雲ひとつない青い空。
彼の笑顔が水面の光のようにキラキラと光って眩しかった。
つづく
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