ゆっくりあいたい

1週間たっていないのに、なにか足りない気がしてくる。

顔をみながら、なんでもない話しをしとたり。腕を組んで街を歩いたり。手をつないでぼーっとしたり

そんな普通のことを、普通ではないけれど、普通にしているだけの幸せ。

それが足りなくなってくる。

彼女が東京に用事のある日があるという。昼過ぎには終わってしまう用事なので、俺の会社終わりまで待たせてしまうのも忍びない。

ウチに帰ってゆっくりさせてあげたいというよりも、夜までひとりで時間をつぶすあいだ、きっと早く会いたいという気持ちをつのらせ苦しむんではないかと気にかかる。

俺の仕事の終わり時間も見えていなかったので、それをなんとかしてあげられないのも、ムズムズともどかしい。

それでも彼女は会社最寄駅のカフェで待っている。

逢えなかったらそのまま帰るからと、俺が無理して仕事を切り上げないように、気づかいもしてくれる。

優しさが愛おしくしみる。

なんとか21時くらいに仕事を切り上げ、駅のいつもの場所に向かう。

笑顔の彼女がそこにいる。

どんな気持ちでずっと待っていたのか、それを思うと何かがキュンと絞りあげられた感覚になる。

彼女は食事もせずに待っていてくれた。ゆっくりはできないが、駅近くで、軽めにイタリアン。

いじらしく愛おしい彼女を、その場で抱きしめたい気持ちを抑え、ちょっかいを出す。

あまりちょっかいを出すと、ふたりとも帰りたくない気持ちを抑えきれなくなりそうなので、ちょんちょんする程度でがまん。

短い時間でも、逢えてよかったと幸せに感じる。

普段の生活を充実させるための栄養がすこし補給できた。

ゆっくり逢いたい。

 

 

 

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