あの時のことを思い出すと
体がこわばる。
彼とのことを周知させてしまったと思った瞬間の恐怖。
怖かった。
彼の守ってきたものを
一気に崩し壊してしまったと、
取り返しのつかないことをしてしまったと。
怖かった。
とんでもないことをしたと、
ただ怖かった。
結局、それは私の思い違いだった。
そして、今、その恐怖は、
もっと違う事だったと気がついた。
彼とのことが誰かに知られること以上に、
彼を失うのが怖かった。
一緒にいることだけを考えてた。
失うなんて考えもしなかった。
考えないようにしていた。
ずっとふたりで歩き続けることだけ考えていた。
それが一気に崩れ去り、
一気に恐怖心に変わっていた。
そしてその恐怖心だけが、
まだ心の奥で燻っている。
不安がっている私のために、
明日彼が時間を作ってくれた。
会えばきっと落ち着く。