帰宅してから
彼に貸したハンカチを返してもらうのを忘れたことに気がついた。
汗を拭くのに渡したハンカチ。
彼の匂いを染み込ませてもらう魂胆で。
でも、その魂胆は裏目に出て、
私のハンカチを口に当てて吸い込む彼。
汗を拭いては匂いを嗅ぐ。
そのまま返してもらうのを忘れてしまった。
「あなたのにおいしかしないんじゃない?」
「でもこれ持ってると、つい君のことを思い出しちゃうから、持って帰らなきゃよかったかなってちょっと思ってる。」
寝る間際の彼からのLINE。
「知らないもん。
いっぱい思い出しちゃえー。
すぐ忘れられちゃうんだもん。」
私のLINEは既読にならないまま朝を迎えた。
彼は知ってるのかな。
そのまま眠れなかったこと。
気持ちが高ぶって眠れなくなっちゃった。
そして今、昨日の朝の彼とのやりとりを思い出す。
ランチしようと誘われたっけ。
まるで昨夜夢を見たかのように、
彼との時間を思い出す。
できるなら、
彼の大きな胸に抱きしめられたい。
優しく抱き寄せられてキスをしたい。
彼の低い優しいささやき声を聞きたい。
でも大丈夫だよ。
そんな自分の気持ちを楽しんでるから。
早く夏が過ぎないかな。
秋になったら、
たくさん彼に甘えよう。