お盆休みは無いと言っていた彼が、
今日は急遽お休みを取ったからランチしようと誘ってくれた。
慌てて家事を済ませて家を出る。
変哲もない日常に飛び込んできた楽しみにただ胸が踊る。
ランチをしながらのたわいも無い会話。
歩いていて、エスカレーターで、
彼が私にちょっかいを出す。
お尻を撫でられる感覚を感じないふりをしていると、ふっと抱き寄せられてしまう。
人が見てるからと咄嗟に離れるのは、
本当は、自分を抑えられなくなっちゃうから。
彼はそんな私のことを楽しんでるのだろう。
彼が私の手の甲にそっとキスをして、唇を這わす。
「これだけで濡れてこない?」
「うーん、どうかな?」とはぐらかす事しかできない。
その会話だけで、反応しちゃうのに。
「俺はダメかも」
歩道脇の囲いのある誰もいない喫煙所で、
彼の、彼自身にズボンの上からそっと触れる。
「おっきくなっちゃったね」
でも、どうにもできないもの。
そして彼と触れる程度のキスをする。
彼の柔らかい唇に、
理性を失いそうになる。
まだ本当はもっと一緒にいたい。
できるなら同じ所に帰りたい。
でも、そうじゃない恋人同士の関係が、
生活を共にしない関係が、
きっと私たちを強く結びつけているのだと思う。
後ろ髪を引かれつつ、彼と別れ、夢から覚めたかのように、それぞれ現実の世界に戻っていった。