東京ベイ〜LOVE〜

「ビュッフェで少し食べ過ぎたな。」

彼はそう呟いたけど
わたしも同じ
彼にしがみついたまま
刹那の眠りに落ちる

たばこをくわえた彼がピクリと動いた私に呟いた

「今寝てたでしょ?」
「かな?」
「寝てる間に抜いちゃった」

そうだった
指を抜かないでって彼の腕の中で言ったんだ
照れるのを隠すように彼の腕にまとわりつく

彼の肌に触れているだけで安らぐ
彼の厚い胸に手を置いて指先で触れる
ゆっくりとしあわせな時間
彼に触れ
彼の呼吸に耳をすます
彼を感じ
彼の存在を全身で静かに確認する

ただただ穏やかな時間

どのタイミングだったかな
彼の事を抱きしめながら

「・・・くん」
「なあに?」
「・・・くんが好き。すごく好き。」
「うん、知ってるよ」

そっか、ならいいよ。
わたしの気持ち知ってくれていればいい

日常の生活にはないと錯覚さえしそうな穏やかな時間
わたしの心が穏やかであるように
彼もそうなんだろうと
何も言わなくても伝わってくる

穏やかな時間をふたりで過ごす

またこんな時間が過ごせるように
願いを込めてそっと彼の胸に唇を落とす

 

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