ありあけ 人の欲

シャワーをあびながらキスをして

ベッドに裸のまま腰かけてキスをして

ベッドに入ってキスをして

肌の温もりをあわせてキスをして

彼女が上になりキスをして

唇以外にもお互いキスをして

なんだか、すごくゆったり気持ちよくすごせて

いつものような激しい欲望ではなく

落ち着いたしあわせというか

やすらぎというか

そういう空気につつまれていた

ビュッフェで食欲を充しすぎたせいか

そんな静かな安らぎを欲していたのかもしれない

ゆるりと抱き合いながらしばらくじっとする

彼女の中にいれた中指を抜こうとすると

「抜かないで」と彼女。

激しく動かすわけでもないが、彼女の暖かさをゆっくりと、しっかりと感じながら、そのまま抱き合っったままゆったりと時をすごす。

なんだか、本当に夢の中にいるような、現実のカケラのない空間と時間。

なにをするわけでもなく、したいわけでもなく、一緒に過ごしている時間が、その空間が、なんでもない幸せとして

染み込む。

頻繁に会えるわけでもないから、あった時にはアレもコレも。

そんな事は必要なかったんだ。

たまにしか会えないから、あっている時間と空間を、じっと一緒にいるだけで幸せなんだ。

食欲、性欲、睡眠欲

欲とは、人が生きて行くために必要な行動力の源。

そんな欲を超越した、「なにもしないやすらぎ」の幸せを感じたような気がした。

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