私の休みに合わせて、
彼が仕事の調整をしてくれる。
以前は、仕事の調整までさせて…と、申し訳ない気持ちも強かった。
でも、今は素直に嬉しいと思うようになった。
調整してまで会おうとしてくれる気持ちが、
彼の想い全てだと思うから。
素直にその想いを受け止める。
15時過ぎ。
学生や外国人観光客、
先を急ぐサラリーマンが行き交う。
スクランブル交差点では、
何人もの外国人観光客が動画を撮っている。
何の目的もなく待ち合わせたので、
当然どうする?っていう話になる。
ちょっと歩けば、以前行ったホテル街もある。
お互い気になっていた映画の時間を調べると、ちょうどいいのがあった。
「映画見て、その後ご飯食べようか。」
今日はそんなデートしよう。
そうして最近話題の映画を観ることに。
夫婦50歳割でチケットを買い、
始まるまでの30分程は、
映画館のフロアーの椅子でおしゃべり。
時々ちょっかい出してくる彼の手を笑って払いながら、
そんなゆったり流れていく時間を楽しむ。
じっと黙って映画を観るより、
ふたりきりになりたいという思いもある。
だけど、逆にそんな時間も新鮮。
2時間じっくり映画鑑賞。
その後、ちょっとお高めのお店で食事をした。
食事のあと、ホテル行く?って話になるも、
帰れなくなるねって、そこはぐっとガマン。
繁華街をブラブラと歩く。
その間、ずっと彼が腰に手を回して、
かと言ってベッタリくっつくでもなく、
何気ない感じが心地いい。
「キスしよ、ほら、あそこでキスしてる。」
キスしてるのは外国人観光客。
「傍目から見たらわからないさ」
そうやって彼は私が困るのを見て楽しんでる。
キスはね、しない。
ふれる程度のキスでも、
きっと私は止まらなくなる。
大きくハメを外してしまいそうで怖い。
手を繋いだり、うなじをさわられたり、
腕を組んだり、腰に手を回したり。
ただそうやって歩くだけの時間も愛おしい。